こんぼた ー わらべうた

子どもが生まれてから、これまで知らなかったわらべうたと出会いました。

「こんぼた」も、そのうちの一つです。布や人形を赤ちゃんの前でふりながら唄ってあげます。

 

こんぼた, こんぼた, どうしてせがひくいの?

こうやのうらで あおなにもまれて, それでせがひくいの,

はやくたって うんどしな!

 

純粋にことばから流れてくる響きが気に入って、これを次のコンサートで演奏してみたらどうだろう、とひらめきました。こんどは唄っていくうちに、言葉の意味が気になりだしました。冒頭の「こんぼた」から、さっぱり意味がわかりません。 笑

 

調べてみると、長野の方言で「こんぼ」は「赤ちゃん」の意味なのだそうです。そしてまた「小坊」は「こんぼ」と云うのだそうです。どちらかの「こんぼ」が「こんぼた」に転じたのかもしれません。

 

また、こんな唄があります。

 

中の中の小坊(こんぼ)たちゃ なぜ背がひくいの

ゆうべこうやのうらで あおなにまぁかれて

それで背がひくいの まつこと高いの

 

こちらは遊び唄のようですが、先述の「こんぼた」になんともそっくりです!

また、小坊さんを弘法大師と云う地区もあるのだそうです。

 

こちらはまた別の唄ですが、

 

こうやの 弘法大師 
この子抱いて 子引いて この子の目に こが入って
こんどから この子抱いて こひくまい

 

弘法大師(小坊)が出てくる唄です。情景として、小坊は荒野(広野)とセットなのでしょうか。言葉は語呂遊びといった感じで、やはり意味はわかりません。

 

そこで、「こんぼた」が載っている本に出版社の電話番号が載っていたので、思い切って問い合わせてみましたら、貴重な見解をいただきました。

 

「わらべうたは口伝なので、方言だったり時代を経たことで意味がわからないものはたくさんあります。けれど、子どもは分からないものは分からないものとして、そのままに受けとめるのです。」

 

確かに。自分が幼少の頃を思い出しても、そうでした。「ずいずいずっころばしごまみそずい」なんて、意味がわからなくてもよく遊んだものです。語呂合わせが面白くて、ことばを発するだけで音楽になります。音として楽しむ。五感で生きている赤ちゃんや子どもならではの楽しみ方です。意味を気に留めながらも、私も、それをそのままに楽しもうと思うようになりました。

 

また、コダーイ芸術教育研究所の、今は亡き音楽教育家の羽仁協子さんはこう述べています。

 

「コダーイがいった音楽はすべての人の第二の母国語だということです。 今の子どもたちは、小さい時から現代語、それもむしろテレビ語の中にほうりこまれています。しかし、それは、伝承が大切にされなくなってから久しい、明治以後の日本の文化の特殊な ”発展” の中で、母国語としての深み、味、愛着とは遠くかけはなれていることに、多くの人が日常気付かずにいます。」と。

 

音楽学生時代、小泉文夫氏の本に影響されて「わらべうた あそびうた しごとうた」をテーマに論文を書いたことがありました。後世に残していきたい伝承は、音楽だけでなく、衣食住においても多くありますが、それらが分断されてしまった今、本来の日本人が大切にしてきた智慧を知りたい、繋げていきたいと思うものがたくさんあります。

 

私はジャズをツールに表現することを選びましたが、ジャズはなんでも取り込んでしまうことのできる懐の深いものです。自分の人生のなかで出会ったものを、ジャンルを超えてレパートリーにしてゆける面白さ。

 

演奏するステージのなかで、童謡からポップスまで、日本の歌はこれまでも積極的に取り入れていましたが、日曜日のコンサートでは「こんぼた」にコードをつけて歌ってみたいと思っています。

 

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